「口腔機能低下症」に関する学会見解論文案への意見募集について

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日本老年歯科医学会
理 事各位
代議員各位

本学会では以前より高齢期における「口腔機能低下症」に関しての検討を進めてまいりました。口腔機能の低下に伴って生じる低栄養や全身機能の低下は、虚弱や要介護状態を惹起し、健康長寿を阻むものです。多くの研究がこれらの事項に関してなされつつありますが、それらを統一的な基準のもとに実施し、より確実なエビデンスの集積とするため、本学会として「口腔機能低下症」に関する学会見解論文をまとめました。

Ⅰ章では、3年前に実施された本学会のワークショップからの議論を時系列で丁寧に説明をさせていただきました。また、「口腔機能低下症」の概念をフレイル、オーラルフレイルと対比させ記載してあります。そして本論文の構成の概略を示しました。

Ⅱ章では「口腔機能低下症」を構成する症状(口腔不潔、口腔乾燥、咬合力低下、舌口唇運動機能低下、低舌圧、咀嚼機能低下、嚥下機能低下)について文献考察をもとに考察し「口腔機能低下症」の診断基準を数的に呈示いたしました。なお可能な限り多くの歯科診療所や検診の場面で活用できるよう、代替検査法も呈示してあります。

Ⅲ章は、それら下位病名の診断から「口腔機能低下症」をどのように診断するかの1案を示したものです。対象となっている学術委員会主導研究は下位病名の診断基準が決定する以前に実施されましたので、下位病名をすべて網羅したものではなく、さらに急性期病院での患者が対象であり、アウトカムがフレイルではなく低栄養である、等の理由により完全な検証の証拠とはなりえませんが、フレイルと関連の強い低栄養をアウトカムとしたデータに当てはめた場合でも、ある程度の合致が得られるのではないかということで1案として示してあります。正当なる検証は学会見解論文より大きい、高齢期の健常人も含めたコホートでの研究が必要となることは言うまでもありません。

Ⅳ、Ⅴ章では、「口腔機能低下症」に関する今後の課題と本学会としての責務を強調させていただきました。

これまでの議論で分かったことですが、このテーマは沼地を歩くような困難さがあります。1歩踏みだし、そこを固めて、次を踏みたす、という歩みが必要と思います。1歩踏みだした本論文を「おっとっと」とひっこめるのではなく、少しでも確実な1歩にする、という観点で読んでいただきご意見をいただければと思います。

このページは学会員以外でも読めるところです。多くの関連の方々からご意見をいただきたいと思います。またご意見には実名を記名していただき、公開される可能性があることをご承諾いただきたいと思います。また、ご意見は平成28年8月9日までにお願いいたします。短いかもしれませんが、その分集中的な思考をお願いいたします。

一般社団法人日本老年歯科医学会
学術委員会委員長 水口俊介
学術委員および特任委員一同

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GGI優秀論文賞を村上正治先生が受賞されました 「老年歯科医学」第31巻1号を発行しました。